弁護士ノート

lawyer notes

特許検索のHOW-TO③

2021.07.29 弁護士:平田 慎二 その他の知的財産関連業務

前々回の記事及び前回の記事では、FIとFタームを使ったインデックス検索方法をご紹介しましたので、今回は検索対象の技術と関連するFIとFタームの見つけ方をご紹介します。
ここでは、「AIを用いた自動翻訳」に関するFIとFタームを探すことを具体例とします。

1 テキスト検索からFI及びFタームを見つける方法
 まず、特許・実用新案検索の選択入力を用いて、請求の範囲に「自動翻訳」又は「機械翻訳」が含まれている特許を検索します。
 具体的には以下のとおり、検索キーワードの検索項目として「請求の範囲」を選択して、キーワードに「自動翻訳 機械翻訳」と入力します。なお、論理式入力を用いる場合は「(自動翻訳+機械翻訳)/CL」という検索式を入力します。

 以下のとおり、2041件の特許文献が表示されました(2021年7月22日時点での検索結果)。

 2041件の特許文献に付与されている分類の一覧を見るために、「分類コードランキング」をクリックします。
 そうすると、「G06F17」、「G06F40」、「G06F15」のFIが多く付与されていることが分かります。

 つまり、請求の範囲に「自動翻訳」又は「機械翻訳」が含まれている特許に関連するFIは、「G06F17」、「G06F40」、「G06F15」であることが推測できます。

 特許・実用新案分類照会(PMGS)を用いて、それぞれのFIを詳しく見てみると、「G06F40/40」には「自然言語の処理または翻訳」が分類されていることが分かります。

 また、「G06F40/40」という「自然言語の処理または翻訳」のFIに対応するFタームは「5B091」(機械翻訳)であることも分かります。

 このようにして、キーワード検索を用いて特許文献を抽出し、抽出した特許文献に多く付与されているインデックスを逆引きすることによって、キーワードに関連する技術のインデックス(FI及びFターム)を見つけることができます。

2 特許・実用新案分類照会(PMGS)から直接FI及びFタームを見つける方法
 特許文献から逆引きせずに、キーワードから直接FI及びFタームを見つける方法もあります。
 特許・実用新案分類照会(PMGS)のキーワード検索で「翻訳」と入力して検索します。


 その結果、17件のFIが表示されました(2021年7月22日時点の検索結果)。
 表示されたFI一覧を詳しく見てみると、「G06F40/40」には「自然言語の処理または翻訳」が分類されていることが分かり、「G06F40/40」という「自然言語の処理または翻訳」のFIに対応するFタームは「5B091」(機械翻訳)であることが分かります。

 以上のとおり、上記の2種類の方法により、「AIを用いた自動翻訳」に関するFIとFタームは、「G06F40/40」と「5B091」であることを見つけることができました。
このように、検索対象の技術を示すキーワードによって、検索に用いるべきインデックスを特定することができます。

 なお、上記の具体例においてはインデックスの特定方法を単純化して説明していますが、自動翻訳に関する技術は複合的なものであるため、実際に検索式を立てる場合には、様々なインデックスを見つける必要があります。「G06F40/40」と「5B091」は翻訳技術そのものに関する分類ですが、翻訳技術そのものの他に、テキスト処理技術、言語解析技術、音声入出力技術、ニューラルネットワーク技術等の様々な観点からの検討が必要となり、「G06F40/40」と「5B091」の検索だけでは足りないことにご留意ください。

以上
(平田)

BACK