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特許に関する侵害訴訟や審決取消訴訟のうち、事案が複雑なものに関しては、主張立証が尽きた段階(一般の民事訴訟でいうと証人尋問のタイミング)で、当事者双方が一定の時間をもらって事案について口頭で説明を行う技術説明会が行われることがあります。この技術説明会は、事前に開催の有無・持ち時間・説明内容・説明の順番などが決められて、当事者双方が当日のプレゼンテーション準備に十分な時間をかけて行われるものです。
これに対し、無効審判段階では、口頭審理当日に審判体から当事者双方に主張を口頭で説明するように促されたり、当事者が審判体の質問に口頭で回答したりすることはありましたが、事前に持ち時間が決められ、当事者双方が十分な準備をして説明に臨むということは行われていませんでした。
ところが、小林・弓削田法律事務所で担当している無効審判事件で、最近になって、審理事項通知書段階で持ち時間が決められ、十分な準備期間をもらって説明をする、技術説明会類似の運用が行われるケースに遭遇しました。
この件だけなのか、他の件でも同様の運用がなされているかは分かりません。しかし、もしかすると、今後は無効審判の段階でも、技術説明会の際に必要なプレゼンテーション能力が問われるようになるのかもしれません。
(河部)