著者
1 弁理士と弁護士の感覚の違い
だいぶ空いてしまいましたが、前回に引き続き、髙部判事の講演で感じた弁理士の先生と裁判所・弁護士の感覚の違いについて、ご紹介させていただきます。
2 登録例の証拠提出
2つ目は、商標権についての審決取消訴訟で、当該審決取消訴訟で争われている商標とは関係のない別の商標が登録された(されなかった)例をたくさん提出して、登録のハードルが低い(高い)ことを示すことで、当該審決取消訴訟でも商標が登録されるべきである(されるべきではない)と主張することの是非についてです。
髙部判事は、別の商標が登録された(されなかった)という判断自体が誤っている可能性がある(審判・審決取消訴訟でひっくり返される可能性がある)以上、あまり意味がなく、主張はあくまで当該商標についての具体的なものにした方が効果的であるという趣旨のことをおっしゃっていました。
この点について、私自身は同じような感覚を持っていたのですが、質疑応答の時間には弁理士の方から突っ込んだ質問がなされており、登録されたものが登録されるべきか否かを判断する裁判所の感覚と、登録させることがお仕事の弁理士の先生の感覚がずれやすい部分だったのかなと思い、強く印象に残っています。
意味がないということはないでしょうが、審決取消訴訟を戦う際には、こういった裁判所の感覚も踏まえて書面を作成する必要がありそうです。
(河部)