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司法試験シーズンですね。今回は、思い出話も兼ねて、弁護士なら誰でも持っている六法(法令集の意味で「六法」という用語を使っています。)を題材にしてみたいと思います。
1 受験生時代の六法の思い出
六法といっても、様々な出版社から収録されている法令の異なる六法がたくさん出版されています。私個人は、受験生時代は受験の際に用いる六法に慣れた方が試験で有利になると考え、学部生時代はロースクール受験の際に使用する『法科大学院試験六法』(第一法規)、
ロースクール生時代は司法試験受験の際に使用する『司法試験用六法』(第一法規)、
司法修習生時代は修習の卒業試験である二回試験の際に使用する『デイリー六法』(三省堂)、
と、使用する六法を変えてきました。
『司法試験用六法』は、試験本番でもらえるものと書店で購入できるものとが若干異なるので、合格前には尊敬する先輩から試験本番でもらえる『司法試験用六法』を譲り受け(お守り的な意味合いもあります。)、合格後には一番仲の良い後輩に試験本番でもらえる『司法試験用六法』を譲るなんて行事もありました。
今でも行われているのでしょうか?
ブランド問題にも携わる知財弁護士としては、中央大学が法科大学院試験の際に、大学のロゴマークを入れた特注『法科大学院試験六法』を配布していた(今はどうなのでしょう?)ことにも、触れておかねばなりません(小林弁護士と藤沼弁護士の母校ですしね。)。
2 実務家になってからの六法
晴れて弁護士になると、毎年弁護士会から『携帯実務六法』が配られます。
しかし、弊所のような知財事務所では、一番使う知的財産関係法が収録されていないので、残念ながらあまり日の目を見ることはありません(^_^;)
小林弁護士は、弁理士の受験時代(40年以上前から?)から、携帯用の六法として『知的財産権法文集』(発明推進協会)を愛用しているようです。頻繁に(一年に2回か、3回)改訂されます。知財高裁の弁論準備期日に出廷した際、裁判官や調査官も同じ法文集を持参していることを目にします。
私は超コンパクトな『知的財産権基本法文集』(PATECH企画)が好みです。
事務所で使用する六法は、弊所では『判例六法Professional』が多数派です。装丁がかっこいいですしね。もっとも、仕事ではこのレベルの六法にも載っていない法令を調べることも多く、結局インターネットが頼りだったりします。
3 ネットでも入手できない特許施行規則様式
ではインターネットは万能かというと、そうはいきません。知財関係では、特許法施行規則の「様式」は政府の法令データ提供システムで出てこないので、『工業所有権(産業財産権)法令集』(発明推進協会)が必要です。
この「様式」は、特許庁への提出書類について定めたものなので、弁理士の先生方はともかく、弁護士にとって使用頻度は多くないのですが、〔備考〕の記載が準備書面作成でこちらの主張を強化するのに役立つことがあります。
4 小林弁護士が改訂を熱望する知財六法
ちなみに、私が入所した頃、有斐閣の知的財産法判例六法を小林弁護士が買ってくれ、これで条文を引きながら判例を覚えるように、と指導を受けたのですが、残念ながら改訂がされないままになっています。
三省堂からも知的財産権六法という同種の六法があり、こちらは改訂されてはいますが、判例が条文のすぐ後ろに掲載されていません。そのため、お目当ての判例と条文をセットで読むことができないのが難点です。有斐閣知財判例六法の改訂がないのがよほど残念なのか、小林弁護士は、なじみの法律専門書店に行くと、有斐閣の知財六法の改訂は計画されていないのか、としきりに聞いています。