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1 ビジネス裁判所、続報がなく…
ずいぶんと前に、新聞などでも、2021年を目途にビジネス裁判所を新設するというニュースが取り上げられました。東京地裁のビジ ネスに関係のある知的財産関係(民事28部、40部、46部、47部)や、商事関係(民事8部)、破産関係(民事20部)の部が中目黒の方に移転されるそうです。
最近音沙汰がないのですが、新庁舎建設予定地の土壌汚染調査費が予算計上されるなどしており、ビジネス裁判所設置という方針は変わらないと考えられます。
2 事務所の場所問題
知財部が集中する東京地裁3階で弁護士同士がビジネス裁判所の話をすると話題になるのが、法律事務所の場所問題です。これまでは東京地裁へのアクセスだけを気にしていればよかったですが、知財部案件、商事部案件、破産案件などを扱う法律事務所は、これからは中目黒のビジネス裁判所へのアクセスも気にしなければなりません。
いくら知財事務所でも、他の訴訟案件を全く抱えていない法律事務所は少数でしょう。弊所を例に取ると、私が担当している事件のうち、数でいえば3割程度は知財事件ではありません。訴訟を多く抱える法律事務所であれば、ビジネス裁判所案件と通常裁判所案件の割合に応じて、どこに事務所を構えるか検討しなければなりません。また、知財事務所の場合、特許原簿の取得や無効審判の口頭審理への出頭を考えると、特許庁へのアクセス(さらに言えば、弁理士会へのアクセス)も考えなければなりません。
我らが小林・弓削田法律事務所の所在する溜池山王は、中目黒駅や恵比寿駅に出ようとすると、電車で20分ほどかかり、そこからさらに徒歩で移動する必要があります。知財事件が多く、商事事件や破産管財事件も抱える弊所としては、ビジネス裁判所の新設は悩ましい問題です。
3 日比谷線沿線に法律事務所が増える!?
霞が関にも中目黒にも1本で行ける駅となると、日比谷線沿線です。ビジネス裁判所の開設に伴い、虎ノ門、新橋あたりの物件の法律事務所人気が相対的に下がり、日比谷線沿線、特に中目黒〜霞が関間の恵比寿、広尾、六本木、神谷町が法律事務所のメッカになる、なんてこともあるのかもしれません。 (河部)