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1 警告書作成業務
こんにちは、河部です。今回は、我々にとってほとんど日常的ともいえる警告書作成を題材に、弁護士業務で日々起こっていることを取り上げてみたいと思います。
弊所では、模倣品対策の仕事を担当させていただくことがよくあります。よくあるのは、勝手にブランドのロゴを用いた商品を販売するインターネット通販業者に対し、弁護士名で警告書を送付し、販売とネット掲載をやめさせるというものです。
2 確認作業で閲覧履歴が…
弁護士名で内容証明郵便を送るというのはそれなりの重大事ですから、本当にロゴを用いているか、まずは確認作業をしなければなりません。
商標権侵害品をネットで売る業者は自分でサイトを持っていることよりも大手ネット通販サイトを複数利用していることの方が多いので、○mazonや楽○市場、ヤフ○クあたりの有名ネット通販サイトをしらみつぶしに探していきます。
私はわりと我慢強い性質でして、作業自体はそんなに苦にならないのですが(数百種類のスマホケースを見続けたときはちょっときつかったですけどね…)、問題は、上記のような大手通販サイトの場合、閲覧した商品に応じて広告が出ることです。
一回検索作業を行うと、商品の特定のためかなりの回数閲覧することになりますから、優秀な行動ターゲティングシステムが私の嗜好を割り出し、いかにも模倣品感がムンムン臭ってくる商品が、大量にオススメ商品に並びます(――;)
○mazonや楽○市場は至るところにウェブ広告を出していますから、別のサイトを閲覧する際も、偽物商品が追いかけてきます…
3 裁判所への証拠提出
ただウェブサイトを閲覧するだけならいいのですが、私のようなアソシエイト弁護士には、必要なウェブページを印刷して裁判所に証拠提出するというお仕事もあります。
これが恥ずかしい。
辞書を閲覧できるサイトなどは広告表示が多かったりして(広告収入で成り立っているのでしょうね。)、印刷すると、辞書の記載はほんの数行なのに大量の偽物商品情報が表示されてしまいます。私が模倣品大好きかのように…
弊所の依頼者様や案件の内容が外部から推測できてしまうというのも問題です。というか、こちらが真の問題です。
4 広告の内容が変わるまで無意味な閲覧…
キャッシュやcookieを削除するという手もあるのでしょうが、それはそれで面倒だったり不便だったりします。
そんなこんなで、自分がプライベートで購入した商品の履歴を隠ぺいするため小林・弓削田法律事務所の品位を保ち依頼者の秘密保持を全うするため、証拠提出前に法律書のページを何回もクリックして行動ターゲティング広告から逃げ回るという無駄な作業が、日々発生しています(^_^;)
5 商品購入でメルマガ…
さて、ネットでの確認作業が済んだら、商品現物を見るために、実際に購入します。購入者の名前は…当然私。
怪しげな模倣品業者の個人情報を提供するのは、あまり気持ちよくないですよね…しかも、メルマガ送付☑を外すのを忘れたりすると、警告書を送った後も、延々と私の元にメルマガが届きます…。
6 新規の仕事獲得(^^)
ある依頼者様のために商品情報を見ていたら、別の依頼者様の商標権侵害を発見することも。無視するわけにもいかずご報告し、そのまま新たな警告書作成のお仕事になったりすることもあります。
7 まとめ
警告書作成は知財を扱う法律事務所にとって最も基本的といってもいい業務ですが、依頼者様に見えない部分では、日々こんなことが起こっています。 (河部)