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1 メジャー化した法律問題:ネット記事の削除要求
こんにちは、河部です。今回は、ネットの記事削除要求についてです。
最近はそれだけで一冊の本になるほどメジャーな法律問題となっていますが、弊所でも、会社個人を問わず、インターネット上の誹謗中傷等を削除してほしいという依頼を受けることがあります。
私が参加したある勉強会で、当時たまたま「転職会議」に対する削除要求を受任していたことから、講師をなさっていたリスク情報を扱うコンサルティング会社の社長の方にお伺いしたところ、ネット上の会社を「ブラック」扱いする記事は企業にとって頭痛の種になっていると、実感のこもった口調でお話してくださいました。
最近の就活生が、内定先について「企業名 ブラック」で検索をしないことはまずないと考えた方がいいでしょう。巷に出回る情報が少ない中小企業ほど、たった一件のネガティブな情報によって貴重な人材を採り逃がす危険性が高く、それだけに中小企業の経営者の頭を悩ませているようです。
2 取り扱った削除要求事案
私の取り扱った案件では、
① 転職会議のように、母体もしっかりしていて、自ら削除要求のフォーマットを用意しているなど、削除要求に対し組織的に対応するサイト
② 運営主体は分からないが、問い合わせフォームが存在し、削除要求があるとほとんど自動的に削除を行うサイト、
③ 運営主体は分からず、問い合わせフォームがかろうじて存在するが、削除を要求する法的根拠についてかなり厳密な主張をしないと削除には応じてくれないサイト、
といった具合にサイト側の対応も分かれていました。しかし、ほとんどのサイトで、弁護士が削除要求をしただけで削除に応じてくれました。利用規約上、弁護士等の専門家からの問い合わせがあれば記事を削除する可能性がありますと明記しているサイトもあります。
3 迅速な対応
溜池山王はオフィス街なので、最近、就活生と思しきスーツ姿の若者をたくさん見ます。新聞などでも今年の就活戦線は完全な売り手市場と騒がれていますね。
応募者やそのご両親がブラック企業であるなどと口コミが書かれたサイトを閲覧すれば、内定辞退の可能性は高く、事は重大です。小林・弓削田法律事務所では、ご相談いただいてからできる限り迅速に削除要求できるようにしています。直近の事案では、ご相談をいただいた翌日にはサイト側に連絡し、翌々日には削除に応じてもらうことができています。
(河部)