著者
今回は、弁護修習について紹介します。
1 弁護収集
(1)概要
弁護修習では、修習生は、一人ずつ修習地にある法律事務所に割り振られて、その法律事務所で研修することになります。
具体的な内容は後述しますが、修習先の法律事務所に所属している特定の弁護士について、その弁護士の業務をみたり、実際に体験したりというのが基本になると思います。
そのため、弁護修習の特徴としては、修習先の法律事務所やその弁護士次第で、修習生ごとに修習の具体的な内容(分野等)が大きく異なるということがいえます。
(2)修習先によって異なる修習内容
私が周りの修習生に聞いた印象ですが、弁護修習では、その修習内容について、修習先の弁護士や修習生自身にある程度広い裁量が与えられていると感じます。
ア 修習の進め方
修習の進め方に関して、たくさん起案をする修習生もいれば、起案よりもとにかく弁護士について回って弁護士業務をみる修習生もいました。
私は後者でしたが、裁判修習や集合修習でもできる起案よりは、弁護士について回り、その仕事の進め方や依頼者対応のやり方等を中心に修習する方がよいのではないかと思います。
イ 取扱分野
扱う分野に関しても、どの分野も幅広く扱う事務所もあれば、特定の分野を多く扱う事務所もあるので、この点は、修習先の事務所の特徴によって大きく変わってくるところだと思います。
そのため、一部の修習地では、事前に興味のある分野等を修習生にアンケートし、その回答を踏まえて修習先の事務所を決定するところもあるようです。
ちなみに、私の修習先は、一般民事も企業法務も幅広く扱う事務所だったので、修習でもかなり広い分野に触れることができたと感じます(例えば、会社からの法律相談、破産の相談、労働事件、交通事故、土地問題、相続事件や刑事事件等がありました。)。
修習生の中には、情報開示請求の多い事務所や刑事事件の多い事務所等、専門分野のある事務所で修習したという人もいました。
ウ 地方と都市部の違い
修習内容は、修習先が地方か都市部(特に東京)かによっても大きく変わります。
地方だと、弁護士の数が少ないため、一人事務所で業務範囲の幅広い事務所が多い印象です。また、弁護士会の活動を見る機会も多いと思います。
他方で、都市部では、特に東京修習だと、企業法務の事務所が修習先になることや、某有名な専門事務所が修習先になることもあるそうです。
(3)修習先以外の弁護士との交流
修習時間中は、基本的に修習先の事務所で修習を受けることになりますが、弁護士会の企画等で修習先以外の弁護士と交流する機会も多いです。
修習生と聞けば大抵のことは親切に教えてくれるので、様々な弁護士の仕事のやり方を聞くこともでき、かなり貴重な機会だと思います。
(4)弁護修習の環境
弁護修習中は、修習先の事務所に机を借りて修習することになります。なお、パソコンまで貸してもらえるかは事務所次第です。
修習環境についても事務所の内装や立地次第で大きく違ってくるところだと思います。弁護士になった後でも、意外と他の事務所の内装を見る経験(ましてや執務室を見る経験)というのはそこまで多くないので、これも貴重な経験と言えるかもしれません。
また、弁護修習といえば、巷では「ランチ修習」、「飲み会修習」などと言われるくらい、ご飯には困らない修習と聞きます。
私の修習期間は、コロナによる自粛ムードのためにそこまでではありましたが、このことも弁護修習の楽しみの一つだと思います。
2 さいごに
弁護修習は、人によって修習内容の違いが大きい修習です。
どんな修習内容になるかは運の要素も強いと思いますが、裁量が広い分、自分次第である程度やりたいことをやりたいようにできる修習でもあるので、特に主体的に取り組むことが大事な修習だと感じます。
次回は、刑裁修習(私は第4クールにありました。)について紹介します。
平塚 健士朗