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典型的には特許訴訟において、裁判所の技術理解を促進する目的で技術説明会が開催されることがあります。技術説明会に関しては弊所でもブログをいくつか掲載しているところであり、そちらもご参照ください(「技術説明会の公開」「無効審判での技術説明会?」「変わる?技術説明会」)
前回の小林弁護士のブログにおいて、中目黒ビジネスコートにおける現状が説明されましたが、本ブログでは、中目黒ビジネスコートに移転した後の技術説明会に絞って概説させていただきます。
1 場所
場所については、中目黒ビジネスコートの法廷ではなく、会議室が用いられます。
大きさは比較的広く、私が担当した案件では、当事者だけで合計17名ほど入室しましたが、そこまで密という感じではありませんでした(以下概略図)。部屋の中には当事者用の長いテーブル(おおよそ10名程度が着席可能)が2つ置かれ、中央にモニターが設置されています。
現状コロナ禍のため当事者の参加人数に制限がかかるかもしれませんが、代理人含め20名程度であれば余裕で収まるサイズではないかと思います。
2 機器
霞が関のときと同様、技術説明会は基本的にパワーポイントを用いて行われるため、代理人自身のノートパソコンを持参することは必須です。
裁判所ではWi-Fiを利用することができませんので、説明に使用するパワーポイント資料は必ず自身のノートパソコンに保存するか、オンライン接続できる機器を用意する必要があることに注意が必要です。
裁判所会議室には、大きなモニターが備えられており、当該モニターに「ClickShare」という機器を利用して接続します。
ClickShareを利用するために特段の事前インストールなどは必要ありません。当日持参したノートパソコンに上記の機器を接続すれば自動的に使用可能となりますので非常に便利だと感じました。
なお、以前の霞が関ではHDMI接続のみでしたが、最近のノートパソコンではHDMIの接続端子がないことも多く、変換ケーブルを持参する必要がありました。ClickShareの場合にはUSB接続が可能なため、上記のような手間はなくなったと思います(もっとも、MacなどUSB端子がないパソコンもありますので要注意です。)。
上記のとおり、ClickShareにはボタンが付いていますが、これは自身が説明する番になった際にクリックすることにより、自身のノートパソコンの画面が表示され、もう一度押すと接続が外されるという仕組みです。
3 説明中の注意事項
裁判所で使用されているのは液晶モニターですので、レーザーポインタ-は表示されません。したがって、説明にあたって注意を向けたい事項を指摘する際には、マウス等を動かすなどの工夫が必要です。
また、ここは好みが分かれるところですが、起立して説明したほうが分かりやすいと考えている代理人からすれば、いちいちパソコンのマウスを操作するのは手間なので、ワイヤレスリモコンを持参することも考慮されます。
裁判所では上記のような機器の貸し出しは行っていないようですので、分かりやすいプレゼンとなるための工夫は自身で行わなければなりません。
4 時間
中目黒ビジネスコートで特有の話ではないですが、一般的に技術説明会の時間は30分〜40分程度と指定されることが多いです。
そのため総花的な説明の場合、どうしても個々の争点に関する説明が薄くなってしまうため、裁判所及び相手方当事者と十分協議し、重点を置いて説明するべき事項を確認することが肝要です。
神田