弁護士ノート

lawyer notes

開設から4ヶ月、中目黒ビジネスコートについて

2023.02.14 弁護士:小林 幸夫 その他の知的財産関連業務 知的財産訴訟

はじめに
  過去の当所のブログで何回か取り上げましたビジネスコートですが、2022年10月から東京・中目黒にて開設され、4ケ月が経過しました。
 まだビジネスコートに行かれたことのない知財関係者のため、アクセス方法、内部の様子や霞が関庁舎との違いなどを報告したいと思います。

1 ビジネスコートに関するニュース・情報
 まず、ビジネスコートとは何か、どのような目的をもって設立されたのか、という点については、裁判所や各メデイアで多く取り上げられています。裁判所が発表した関係情報は以下の通りです。¹

東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート)
アクセス

2 ビジネスコートへのアクセス、入口、各フロア
① 裁判所のアクセス情報では、東急東横線・東京メトロ副都心線の中目黒駅から徒歩約8分と記載されています。しかし、歩いてみると目黒川に沿って遊歩道が整備されているので8分より早く到着する感覚です。タクシーで向かう場合は、「駒沢通り「中目黒一丁目」の歩道橋の手前を左折」するように指示すると良いです。

②入庁時の所持品検査がない。
 霞が関庁舎と異なり、ビジネスコートの入口では、所持品検査はありません。ガードマンもおらず、自由に入れます。

③東京地裁の知的財産部(29、40、46、47)の書記官室・裁判官室は4階、知財高裁は5階です。法廷はいずれも3階にあり、以下の通り部によって曜日毎に使い分けているようです。

知的財産高等裁判所

東京地方裁判所

3 ビジネスコート移設に伴う注意点
「開廷情報ディズプレイ」の移設
 霞が関庁舎には、1階ホールに開廷情報ディズプレイが10台設置されており、知財訴訟(侵害訴訟、審決取消訴訟)の開廷情報が見ることができました。しかし、「ビジネスコート」の開設に伴い、知財訴訟に関してはビジネスコートに移設されました。ビジネスコートの1階ホールに6台設置されています。霞が関庁舎のディスプレイでは知財訴訟の開廷情報は見ることができなくなったことに注意して下さい。
霞が関庁舎の開廷情報ディスプレイの画像は、裁判所の裁判傍証のお知らせの3ページに掲載されています。
ビジネスコートの開廷情報ディスプレイの写真も公開されています。

②ビジネスコートでも、webによる審理が中心であること
 ビジネスコートが開設されましたが、口頭弁論の際や技術説明会以外は、web審理が中心です。従って、実際に中目黒に向かうことは多くありません。中目黒にビジネスコートが開設されるという情報に接した際には、事務所の一部移転、分室などを考えましたが、今は、その必要性がないと考えています。ただ注意すべきは、訴状を期限内に提出しなければならない場合(例、審決の謄本送達後30日以内に提出しなければならない審決取消訴訟の訴状等)は、郵便が遅れている昨今の状態から、実際に事務局員や弁護士が直接提出することを心掛けていますし、知財関係者、特に弁理士の方にはお勧めします。特許庁の審判はすべて発信主義ですが、裁判所の場合は送達主義という点を忘れないようにしてください。

③ビジネスコートでの技術説明会の実施(ClickShareの利用)
 技術説明会は、ビジネスコートの法廷ではなく会議室で行われます。また、技術説明会は、以前のように、プロジェクターとスクリーンによる方法から、裁判所の大型ディスプレイにワイヤレスで繋いて行う方法に変わっています。具体的には、プレゼンテーションシステム、ClickShareを利用して行います。
 
 ビジネスコートでの技術説明会の準備(事前インストール等)は十分にしておく必要があります。これについては、次回に神田弁護士から報告してもらいます。

弁護士・弁理士 小林 幸夫


小林弁護士のコメントや原稿が記載されている記事は以下の通りです。
ビジネス訴訟などの専門裁判所「ビジネス・コート」全国初開設 | (NHK)
ビジネス訴訟、迅速解決へ 知財などの専門裁判所始動(日本経済新聞)
広報誌「とっきょ」Vol.55(特許庁)

 

BACK