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今回は、民事裁判修習ではどのようなことを行っているのかについて紹介します。
1 民事修習
⑴ 裁判修習は裁判官室で
修習生は、実務修習が始まると、各修習地にて、大体4つの班に分かれて、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の4か所を回りますが、裁判修習では、1つの班から修習を行うことになります。
そして、修習を行う場所は、各部の裁判官室です。裁判官室というと、なかなか入ったことがある人は少ないのではないでしょうか。私もそれまで裁判官室は見たこともなく、入ったのはその時が初めてでした。意外に広々としている印象でした。
修習中を除くと、今後は裁判官にでもならない限り、ほとんど裁判官室に入る機会はないので、裁判官がどのような環境で、どのように業務を行っているのかを見ることができる大変貴重な期間です。裁判官の業務のやり方、裁判官同士の関係性、裁判官と書記官の関係性などなど、修習ならではのことを感じ取ることができます。
⑵ 記録検討、傍聴と起案の日々
民事裁判修習で何をやるかというと、最初の頃に3時間くらいの判決起案があるほかは、大体記録検討と傍聴、が中心になります。それぞれの割合は、人によりけりだと思います。ある程度やりたいことは何でもやらせてもらえる環境でした。
記録検討は、傍聴するにしても、起案するにしてもまずやらなければならないことです。そのため、速く記録を読めるよう、裁判官から読み方を学びつつ、たくさん記録を読みました。既にある程度証拠が出そろった事件を検討することが多いので、それなりに大変です。ただ、弁護士として書面を作成する上でも、参考になることは多かったです。
裁判傍聴ですが、民事裁判は、短時間で終わる期日がほとんどです。もっとも、そのような期日でも、いくつもの法律上の手続きが行われるので、具体的に法律のどの条文に沿ってその手続きが行われているのかを確認することが多かったです。
4件の起案は、起案の題材や起案の形式を修習生が自由に決めることができました。そのため、私は、事案として興味がわいたものを選んで、起案していました。
起案についても、講評を通じて、裁判官が普段どのようなことを考えて起案しているのかを知ることができるので、とても勉強になります。特に修習初めの頃は、まともに起案できないので、証拠の使い方や事実認定の相場など学べることは多かったです。
2 最後に
以上が、私の経験した民事裁判修習の概要です。
最後に、民事裁判修習に限らずですが、指導してくださる配属部の裁判官や書記官など、また、同じ部で修習する修習生の存在はとても大きいです。幸いなことに、私は、これらの環境にとても恵まれていたと思います。
裁判官の方々は、とても親切で、初日から積極的に声をかけてくださり、民事裁判の指導はもちろん、雑談なども通じて、大変過ごしやすい環境を作っていただきました。
書記官の方々にも、わからないことがあればいつでも丁寧に教えていただきました。また、速記官の方から、速記の方法や速記官から見た尋問で気を付けるべき事項を聞くことができたのは、とても貴重な経験だったと思います。
そして、同じ部の修習生とは、修習中同じ事件を検討していたので、修習生と議論して、自分にはない視点を教えてもらい、大変勉強になることが多かったです。
今ちょうど修習が始まろうとしている76期修習生の方々も、良い環境で修習できることを願って、今回の記事を終わりにしたいと思います。
次回は、家裁修習と第1クール中の生活を紹介する予定です。
(平塚)