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先日10月24日に、長年争われてきたJASRAC対音楽教室の裁判の最高裁判決がでました。
詳細な判決内容の確認・検討は、判決公開後に譲るとして、これにて音楽教室での生徒の演奏が著作権法上の演奏に当たらないということが確定したことになります。
なお、最高裁では、生徒の演奏が著作権法上の演奏に当たるかだけの判断をしており、講師による演奏が著作権法上の演奏に当たることは、既に確定しています。
さて、これによりどのような影響が出てくるのでしょうか。
前述のとおり、教師による演奏が著作権法上の演奏に当たることから、音楽教室が先生による演奏を行う限り、JASRACに著作権使用料を支払うことに変わりはありませんが、これまで徴収してきた年間受講料収入の2.5%という著作権使用料が減額される方向に見直されるものと考えられます。
ただ、教師の演奏は著作権法上の演奏に当たるが生徒の演奏は著作権法上の演奏に当たらないとなると、理屈としては、教師が演奏しないならば、音楽教室は演奏にかかる著作権使用料をJASRACに支払わないでよいということになりますが、音楽教室側が教師が演奏をしていないということを理由として著作権使用料の支払いを拒もうとしたとしても、そう簡単にJASRACが引き下がるとは思えません。
そうすると、今後、音楽教室も納得できる著作権使用料の算定根拠が問題になってきますが、基本的に音楽教室は生徒の音楽技術の向上の為の場所なので、実態に即した教師と生徒の演奏の割合を考慮した著作権使用料の設定が望まれます。
(藤沼)