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Claude 3で書いてみた。ファッションにおける形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)と「光沢及び質感」の評価

2024.07.01 弁護士:木村 剛大 AI Fashion Law 不正競争防止法

今回はClaude 3(opus)で裁判例の分析を行ってみました。素材として取り上げた裁判例は、東京地判令和5年10月18日(令和3年(ワ)第25324号)大阪地判令和5年10月31日(令和4年(ワ)第6582号)です。商品画像はリンクより確認することができます。本文はあえて一切修正しておりません。それではご覧ください。


木村:添付した2つの判決を比較しながら分析して3000字程度で解説記事を書いてもらえますか?

はい、添付いただいた2つの判決を比較分析し、解説記事を3000字程度で書かせていただきます。

【解説記事】

東京地裁令和5年10月18日判決と大阪地裁令和5年10月31日判決は、いずれも不正競争防止法2条1項3号の他人の商品形態の模倣に関する事件ですが、結論と理由付けが対照的な興味深い判決です。

まず東京地裁判決では、原告商品と被告商品の形態が実質的同一と認められた5組の婦人服(原告商品1〜5と被告商品1〜5)について、被告商品は原告商品に依拠して作成されたものと推認できるとして、被告の行為が不正競争に該当すると判断されました。判決は、①被告が原告商品とほぼ同一の形態の商品を多数販売していること、②被告が原告の取引先で原告商品の絵型を受領し、原告商品を仕入れていたこと、③被告商品が原告商品発売後しばらくしてから販売が開始されるパターンが繰り返されていたこと、の3点から総合的に依拠性を認定しました。また被告提出の依拠性を否定する証拠については、信用性に疑問があるとしてこれを排斥しています。

一方、大阪地裁判決では、原告商品1〜7と被告商品1〜7のいずれについても、形態の実質的同一性が否定されました。判決は両商品の形態の共通点と相違点を丁寧に認定した上で、需要者が判別でき着目するような相違点がある以上、実質的同一性は認められないと判断しました。また仮に実質的同一性が認められたとしても、共通する形態的特徴は、いずれも原告商品の販売前から被告や第三者の商品に見られるありふれたものであるとも指摘しています。

両判決の判断枠組みは基本的に共通していますが、実質的同一性の有無の判断基準に微妙な差異が見られます。東京地裁判決は、需要者が「通常の用法に従った使用に際して」相違を認識できるかどうかを基準としているのに対し、大阪地裁判決は、需要者が相違点を「判別でき着目する」かどうかで実質的同一性を判断しており、後者の方がやや厳格な基準のように思われます。

また依拠性の認定手法も異なります。東京地裁判決は、被告が原告商品の情報や現物を入手可能な立場にあったこと、原告商品発売後に酷似商品を販売するパターンを繰り返していたことを重視して依拠性を推認したのに対し、大阪地裁判決は、依拠性について実質的に判断していません。原告の主張する事情だけでは依拠性を基礎付けるのに不十分と考えたのかもしれません。

さらに、先行商品の存在など、形態がありふれたものかの判断でも、両判決で対照的な評価がなされています。東京地裁判決は、先行商品の存在を認めつつも、原告商品の特徴的形態の全てを備えるものはないとして、これを「ありふれた形態」とは認めませんでした。他方、大阪地裁判決は、原告商品の個々の特徴は先行商品に現れており、その組合せも容易に着想できるとして、「ありふれた形態」に該当すると判断しています。

2つの判決は、同じ不正競争防止法の規定の解釈適用でありながら、実質的同一性、依拠性、ありふれた形態の有無の評価が分かれた興味深い事例と言えます。商品形態の実質的同一性や依拠性をどのように判断するかは難しい問題ですが、本件のように被告商品が原告商品発売後に現れたケースでは、東京地裁判決のように総合考慮して依拠性を推認する判断手法が有力とも考えられます。他方、「ありふれた形態」の判断は、東京地裁と大阪地裁のどちらの考え方も一理あり、先行商品との対比をどの程度厳格に行うかは、なお議論の余地があるように思われます。

いずれにせよ本件は、商品形態の実質的同一性や依拠性について、裁判所の考え方の違いがよく表れた判決と言えるでしょう。2つの地裁判決の違いは、知財高裁や最高裁でどのように評価されるか、今後の展開が注目されます。

木村:いいですね。比較の視点として、特に光沢、質感の違いに着目してもらえますか?

ご指摘の通り、両判決は商品の「光沢及び質感」の違いを、実質的同一性の判断においてどのように評価するかという点でも対照的です。この点を中心に、解説を補足いたします。

東京地裁判決は、原告商品1と被告商品1、原告商品2と被告商品2の実質的同一性を判断する際に、商品の素材の違いに由来する「光沢及び質感」の相違を重視しています。判決は、商品形態の実質的同一性を判断する際には、需要者が通常の使用時に認識できる「外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感」(不正競争防止法2条4項)が問題となることを明示した上で、原告商品1はポリエステル100%のサテン生地で光沢とつや感があるのに対し、被告商品1はポリエステルとレーヨンの混合のギャバジン生地で光沢とつやがないこと、原告商品2は上下で素材が異なり下部に光沢のあるナイロン生地を用いているのに対し、被告商品2は上下とも光沢のない異なる混合素材であることを指摘し、これらの相違は「商品全体に対して需要者の受ける印象に相当程度影響する」と評価しました。

これに対し、大阪地裁判決の原告商品5と被告商品5の対比では、両商品とも表地はポリエステル100%であり、「光沢や質感の差異の程度は大きいものではない」と判断されています。大阪地裁判決は、他の原告商品と被告商品の対比部分では「光沢及び質感」の相違については特に言及していませんが、素材の違いが光沢や質感の差異として外観に現れる場合は、これを実質的同一性の判断要素の一つとする考え方と整合的と言えます。

以上のように、東京地裁判決は商品の素材の違いによる「光沢及び質感」の相違を実質的同一性を否定する方向で積極的に評価したのに対し、大阪地裁判決ではこの点が実質的同一性の判断に与える影響は限定的と考えているようです。

もっとも、商品の素材選択は、コストとデザインの両面から、商品の特徴を構成する重要な要素の一つとも考えられます。素材の違いが外観上明確に現れる場合は、形態の実質的同一性を否定する方向に働く可能性が高いでしょう。ただ、本件のように化学繊維を中心とする衣料品の分野では、様々な混合素材が使われているため、素材の違いのみから実質的同一性を判断するのは難しい面もあります。商品の形状、模様、色彩など他の特徴との組合せにおいて、素材の違いがどの程度看者に異なる印象を与えるかを考慮する必要があると思われます。

この点は、不正競争防止法における商品形態模倣の規制の目的が、他人の商品開発への資本と労力の成果を保護することにあることとも関係します。商品の素材選択とそれによる光沢や質感も、商品開発者の創意工夫と投下資本の成果と評価できる場合は、形態の実質的同一性判断において、これを重視する判断手法には一定の合理性があると考えられます。

本件の2つの地裁判決は、素材の違いによる「光沢及び質感」の相違をどの程度重視するかという点で判断が分かれましたが、この問題は商品形態模倣の成否を判断する上での重要な論点の一つであり、知財高裁や最高裁の判断が注目されます。

木村:「光沢及び質感」の違いを重視して判断しているのは大阪地裁判決ではありませんか?再確認して解説してください

申し訳ありません。ご指摘いただきありがとうございます。確かに、「光沢及び質感」の違いを重視して実質的同一性を否定したのは大阪地裁判決の方でした。東京地裁判決と大阪地裁判決の判断を取り違えてしまいました。改めて、両判決の比較を中心に解説をさせていただきます。
大阪地裁判決は、原告商品1と被告商品1、原告商品2と被告商品2の実質的同一性を判断する際に、商品の素材の違いに由来する「光沢及び質感」の相違を重視しています。判決は、原告商品1が光沢のあるポリエステル100%のサテン生地を使用しているのに対し、被告商品1は光沢のないポリエステルとレーヨンの混合のギャバジン生地を使用していること、原告商品2は上部にコットン100%、下部に光沢のあるナイロン100%の生地を用いているのに対し、被告商品2は上下とも光沢のない異なる混合素材を用いており、「着用する季節を異にするほどの質感の相違」があることを指摘し、これらの相違は「商品全体に対して需要者の受ける印象に強く影響する」と評価しました。
一方、東京地裁判決では、原告商品と被告商品の素材の違いや、それによる光沢や質感の相違については特に言及されていません。東京地裁判決が実質的同一性を認めた5組の商品については、形状やデザインの特徴の共通性が詳細に認定されていますが、素材の違いによる外観上の相違は、実質的同一性の判断に影響を与える要素としては取り上げられていないようです。
このように、大阪地裁判決は、商品の形態の実質的同一性を判断するにあたり、需要者の印象に影響を与える要素として「光沢及び質感」の相違を重視したのに対し、東京地裁判決では、この点は判断要素として特に考慮されていないという違いが見られます。
商品の形態について不正競争防止法の保護を及ぼす趣旨は、他人の商品開発への資本と労力の成果を保護することにあると解されています。素材の選択とそれによる光沢や質感も、商品開発者の創意工夫と投下資本の成果と評価できる場合は、形態の実質的同一性判断において、これを考慮要素とすることが、法の趣旨に沿うようにも思われます。
もっとも、多様な混合素材が用いられる衣料品の分野では、素材の違いから直ちに実質的同一性が否定されるとは限らないでしょう。商品の形状、模様、色彩など他の特徴との組合せにおいて、素材の違いが需要者に異なる印象を与えているかどうかが、実質的同一性の判断において考慮されるべき要素と考えられます。
本件の東京地裁判決と大阪地裁判決は、この点の考慮の仕方に違いが見られますが、商品形態の実質的同一性判断において「光沢及び質感」をどのように評価するかは、今後の裁判例の集積が待たれる重要論点と言えるでしょう。



いかがでしたでしょうか?まだ間違いを含んだ解説がされることがよくあり、やはり使用者が実質的な内容の判断ができることは必要です。ですが、Claude 3は非常にもっともらしく論じてきますので、油断しているとそうなのか?と思ってしまいそうです。AIの性能は日々進化していますので、間違いを指摘する必要がなくなる日も近いでしょう。

弁護士 木村 剛大

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