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1.AIと知的財産権等の検討状況
AIと知的財産権等との関係に関しては、これまでに複数の関係省庁からガイドラインが公開されています。まだAIと知的財産権等(あるいは法制度全体)とのあるべき関係性を模索しているような状況ではあるものの、少なくとも現時点における考え方の方向性として、重要なガイドラインであることは言うまでもありません。
現在、これらのガイドラインも踏まえて、AI生成物の保護の必要性や保護方法等、AIと知的財産権等に関する様々な課題が検討されています。
2.権利者(クリエイター等)の視点からの解説
そのような中、令和6年11月15日、「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ(2024年5月)」(AI時代の知的財産権検討会)のポイントを“権利者”の視点からまとめなおした「AI時代の知的財産権検討会『中間とりまとめ』-権利者のための手引き-」(内閣府知的財産戦略推進事務局)(以下「権利者のための手引き」といいます。)が公開されました¹。
内容的には、前者の「中間とりまとめ」(2024年5月)にも記載されている内容がほとんどですが、“権利者”の視点から再構成されたことで、クリエイターが特に気になると思われるポイント(法的ルールや技術面からの対応方法等)が、この「権利者のための手引き」一つにわかりやすくまとめられています。
自身が制作した作品にかかる権利について、AIとの関係が気になるクリエイターの方は、ひとまず「権利者のための手引き」を読んでおくとよいと思います。
3.結語
AIに関する法律関係には、まだまだ検討が必要な課題が多く、技術の進歩に対して、法律の対応が間に合うかはかなり怪しい状況といえます。とはいえ、既存の枠組みで対応可能な部分もあるため、まずは現状の法的ルールを理解した上で、技術面も含めて今できる範囲で対応していくことが必要です。
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1 なお、最終頁には、これまでに関係省庁から公開されたガイドラインがまとめられています。
弁護士 平塚 健士朗